商標権者が知的財産裁判所に商標権の侵害を訴えた裁判で、被告が10者に及ぶため、裁判所は中間判決が必要と認めた。中間判決の中で、「善意による先使用」は商標の使用を許諾された先使用者には適用されないとの判断が示された。
係争商標の出願人は商標登録後に商標権を譲渡し、譲受人は更に現在の商標権者に権利を譲渡した。原告は現在の商標権者である。
知的財産局ウェブサイトの2017年12月5日付電子報に上記中間判決の要旨が掲載された。以下は当該記事の和訳である。
※ 中間判決:訴訟関係を明確にするため、裁判所の裁量により裁判の最後に出される終局判決の前に訴訟内容の一部について出される判決。中間判決に不服があっても、終局判決が出されるまでは上訴して争うことはできない。
電子報掲載日:2017年12月5日
係争商標 登録第951251号「2つの矢図形」

指定商品第25類:靴、長靴、サンダル、陸上競技用靴、
レジャーシューズ等の靴類商品。
原告は、2011年に前の商標権者及び最初の商標権者と合意し、係争「2つの矢図形」商標(以下、係争商標という)を買い取った商標権者で、商標権の満了日は2021年7月15日である。原告は係争商標の買い取り以前に、被告に今後使用できないことを口頭で通告した。最初の商標権者はそれ以前の2001年から2003年の間に被告等に内容証明郵便を送付し、係争商標を今後使用することはできないと通告した。被告等は原告の同意又は許諾を得ずに製造、販売した模倣の靴類商品に係争商標と完全に同一の図形を使用し、原告のビジネス上の名声へのフリーライド、消費者の認知の混同を意図した。原告は被告等の何れに対しても損害賠償を請求した。裁判所判決の趣旨は以下の通り:
- 被告は、商標法第36条第1項第3号の善意による先使用を主張して抗弁した。確認したところ、被告は1999年(係争商標の出願日:1999年2月3日)以前に係争商標の最初の商標権者と靴類商品について提携し、当初被告が研究開発、設計、靴類の製造を行っていたため、最初の商標権者は当該デザイン図形をプリントした靴を被告が市場で販売することに「同意」していた事情がある。しかしながら、「善意による先使用」の中核概念は善意で自ら独自に使用することであり、その後他の者が商標を登録した場合、たとえ他の者から許諾された商標の使用であるとしても善意による使用には該当しない。従って、被告が抗弁した上述の「善意による先使用」の基礎となる事実は、「許諾された」使用であり、善意による先使用ではない。
- 被告は警察から係争商標を使用した運動靴9576足を差押さえられ、被告二は警察から係争商標を使用した運動靴2820足を差押さえられた。その数量は非常に多く、販売する目的で所持していたと認定できる。商標法第5条第2号、第68条第1号の規定に基づき、原告の係争商標権を侵害する。


