「台湾で特許出願する際の日本人発明者の氏名表記問題」について

「台湾で特許出願する際の日本人発明者の氏名表記問題」について 1

昨今、台湾での特許出願や商標出願では電子出願方式が広く採用されており、2021 年末までの統計によると、電子出願による特許出願は88%、商標出願は88%に上る。

日本語で採用する漢字の字体の多くは中国語の正体字に対応するが、簡略化されたものもあり、その字形は台湾で使用する正体字と細かい点に違いがある。日本ではパソコンや印刷でMS Minchoを用いることが多いが、台湾特許・商標出願の電子出願では新細明体が採用されているため、一般的に、台湾で特許を電子出願する場合には日本人発明者の氏名の漢字も台湾当局で採用する新細明体で入力する。新細明体で入力された漢字であれば、字体が同じであるので、その特許出願が特許公報で公告されるときや特許証の発行時に問題が起こることはない。

しかし、日本からの特許出願では時々、出願人が発明者の氏名に日本漢字をそのまま使う、つまりMS Minchoで入力することを希望することがあり、その場合、電子出願の願書では正確に表示されるものの、台湾の新細明体ではその漢字を表示できないために特許公報や特許証では空白となり、表示されない。

例えば、発明者の氏名が「田辺 隆」である場合、台湾では「田邊 隆」となるが、日本の漢字と台湾の正体字を比較すると、「辺」と「邊」、「隆」と「隆」で相違する。このため、台湾特許出願での発明者の氏名に新細明体で「田邊 隆」と入力すれば、特許公報や特許証の発明者の氏名欄に「田邊 隆」と表示されるが、もしMS Minchoで「田辺 隆」と入力した場合には、特許公報や特許証の発明者の氏名欄では「田□ □」(□は空白)となり、発明者の氏名を表示できない可能性がある。

以上の問題点に鑑み、電子出願時には、知的財産局が採用する「新細明体」で発明者氏名の漢字(「田邊 隆」)及びローマ字表記「TANABE TAKASHI」を入力し、そして願書の備考欄に発明者の日本漢字を記入、例えば備考欄に「発明者の日本漢字は「田辺 隆」」と記入することで、両者は同一人物であることを示すことが好ましいと考え られる。

以下はよく使われる日本の漢字(MS Mincho)と台湾で使用する正体字(新細明体)との対応表である。

日本の漢字台湾の漢字日本の漢字台湾の漢字日本の漢字台湾の漢字
(MS Mincho)(新細明体)(MS Mincho)(新細明体)(MS Mincho)(新細明体)
滿
溫、温

和製漢字の例:

日本の漢字発音日本の漢字発音日本の漢字発音
まちしずくにお
つじ鮨、鮓すしたこ
こむとちこがらし
はたけとうげまた
はたけささわく
なぎさかきはたらく
しつけせんはぎ
かしたらこうじ
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